クルミアレルギーがあるとナッツ全般ダメ?5歳息子のケースを考える

最近、昔に比べてアレルギーの子どもが増えているという話をよく耳にしますが、筆者の息子も赤ちゃん時代から牛乳に対して蕁麻疹出る症状があり、軽めのアレルギー持ちという認識でした。
ところが1歳半過ぎた頃にそれまでの症状とは比較にならないほどの重いクルミアレルギーを発症、その後ナッツ類の完全除去を経て、5歳の現在は食物経口負荷試験をしながら少しずつ食べられるものを増やしている、という状態です。
そこで、これまでの経緯や我が家のクルミアレルギーとの付き合い方について、詳しくお話したいと思います。
同じようにお子さんの食物アレルギーに悩まされている方の参考になれば幸いです。

クルミアレルギーに気付いたきっかけ

元々、息子は0歳児の離乳食初期に牛乳で軽いアレルギーが出ていました。
唇が腫れる、口の周りや腹部に蕁麻疹が出る等の症状で、かかりつけ医のところで血液検査をしたところ、クラス2のミルクアレルギーと診断。
そういう体質でしたので、その後も新たなアレルギーの発症含め食べる物には気を付けていたつもりでした。

1歳半を過ぎた夏のある日、私は大量に手に入ったバジルを使って自家製バジルペーストを作りました。
松の実の代わりに、より手軽に手に入るクルミを使って…

そしてそのバジルペーストを使って、ジェノベーゼパスタを調理しました。
量としては大人の皿にだけ、メインのハンバーグの隣にちょっと添えた程度。
大好きなハンバーグがあるし、こんな緑色のパスタなんて1歳の息子が食べるとは想定していなかったのですが、なぜか欲しがったんですね。
絶対好きじゃないと思うよ?などと言いながら、一口与えると、もっと欲しいと。
結局3、4口は食べたと思います。
その後、10分くらいたってからでしょうか。
いつもなら喜んで食べるハンバーグを全く食べなくなりました。
1歳なので上手には言えませんがどうもお腹が痛い様子。
でも小さい頃の息子は風邪をひくとお腹に来るタイプでしたので、その時も当然風邪かなと思いました。
そしてさらに数分後だったと思います。
激しく嘔吐して、それが少し間を空けて4回ほど続いた後、ぐずりながらも疲れ果てて寝てしまいました。
でも寝ている間、さっきまで皆無だった咳がでているのです。
苦しそうとまではいかないものの空咳がしばらく続いていて、私がそこで「まさか…」と息子の服をめくると上半身に蕁麻疹が出ており、ようやくアレルギーの可能性に思い当たったのです。
どうしてすぐに気づけなかったのかと考えると、やはり軽度のアレルギーを持っていたせいで「食物アレルギーといえばまずは蕁麻疹」という思い込みがあったのだろうと思います。
腹痛と嘔吐だったので胃腸風邪だろうと…
でも子どもが寝てこちらも少し落ち着いたところで、バジルペーストに入れたくるみのことを思い出しました。
アレルギーに対する警戒心もあって、ナッツ類を与えたことはまだ一度もなかった…
それなのにうっかりあんな量を一気に、しかも病院の開いていない夜に与えてしまうなんて!(バジルペーストにはかなりの量のナッツが入ります)
大ショックでしたが、とりあえず寝ている子どもをむりやり起こして、ミルクアレルギー用に処方されていたステロイドの粉薬を無理やり飲ませ、その日は一晩様子を見ました。
翌日はまだ食欲がなさそうな様子でしたが、次第に元気を取り戻したのでホッと一安心。
後日病院で相談したところ、それは「アナフィラキシーに近いね」とのことで、総合病院のアレルギー専門医にかかることになりました。
そこで検査した結果がこちらです。

はい。クルミ、上限振り切れていました。
しかも他のナッツやそばにまで数値上は陽性が出ていました…
これでクルミを始めとしたナッツ類全般とそばの完全除去が決定しました。
ナッツ類は元々重篤なアレルギーを引き起こしやすいこと、クルミで激しい症状が出たこと、まだ年齢が小さいことなどから、そのような判断になった模様です。
ただ、本当に他のナッツも食べられないのかは実際に摂取してみる食物経口負荷試験をしないことには確かめられないから、もう少し大きくなったら試験もやりましょう、ということになりました。

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実はクルミが含まれている食べ物

完全除去が決定したからには、とにかくそれらが口に入らないように徹底しなくてはいけません。
うちの場合だと、明らかに命に関わってくるであろうクルミは特に気を付ける必要があります。
ところがクルミが含まれている食べ物って世の中に結構あるんですね。
上にクルミが飾られているケーキやクルミパンなら見たらすぐわかるからまだいいんです。
問題は混ざっていたり見つけにくかったりするもの。
中に混ぜ込まれているデザートやパンは多いので、見た目には何ともなさそうな物でも毎回表示を見たりレストランなどだと店員さんに調べてもらったりします。
肝を冷やしたのがおしゃれなデリ系サラダのレタスの影に隠れたクルミ。
本当に分かりにくくて、皿に取り分ける寸前に気が付きました。
それから某しゃぶしゃぶレストラン「木○路」のゴマダレ、それまでは祖父母につれて連れていってもらっていましたが、くるみが使われていることが判明して以来怖くて行けなくなりました…
なお中華料理系にもナッツはよく使われるので、こちらも事前の確認が必須です。
そして土地柄、五平餅のたれや田楽みそが身近にあるのですが、これもクルミが使われていることが多くてなるべく近づきたくない物の一つ。

しかもこれらは出店のようなところで気軽に買える場面も多いので、うっかりが起こらないように祖父母をはじめとした周りの人間にもよく言い含めてあります。
そして何より、本人にも「あなたはナッツアレルギーがあるから、クルミだけは絶対気を付けてね」ということを常々伝えています。
5歳ともなればアレルギーの怖さをそれなりに理解できますからね。
クルミアレルギーを発症した時の記憶はもちろんないので、実感が持てないのが難しいところですが、パン屋でクルミパンを実際に見せたり、食べたらどうなるかを詳しく説明したりして、何とか自分でも避けてくれるようにと思っています。

症状が出た時の対処法

息子は小さいうちはアレジオンいう抗ヒスタミン薬とリンデロンというステロイド薬を、体重15㎏を超えた後はリンデロンとアドレナリン自己注射薬のエピペンを処方されています。
最初にかかった病院では軽症な場合はアレジオン、中等症はリンデロン、重症時はエピペンを使うようにと指示を受けました。
ですが、現在の主治医はアレジオンは必要ないとの考えで、とにかくアレルギーを疑ったら最初からリンデロンを使っていいと言われました。
そして症状の程度が判断付かずに何を使うか迷ったら時は強い方を使えとのこと。
そこまで酷くなかった、またはアレルギーではないのに使用してしまったとしても体には支障はないそうです。
1分1秒を争うような時に「この薬では足りなかった」では困りますからね。

そしてエピペンは注射式の薬なので、使い方に練習が必要です。
処方時には練習用の模擬エピペンももらえるので、日ごろからこれで練習をしておくべきだそう。使い方に自信がなければ病院や処方時の調剤薬局で教えてもらえますので頼んでみるといいでしょう。
そして息子の病院では本物のエピペンを使っての練習もさせてくれました。
やはり練習用とは打った時の衝撃が全然違ってとてもびっくりしますので、可能であれば一度本物を使う機会を作れるとベストだと思います。

クルミアレルギーだとナッツは全部ダメか

さて先ほどもお話した通り、息子はクルミアレルギーの症状が激しかったこともあり、とりあえず数値上陽性が出たものはすべて除去となりました。
ですが、医師の話では複数のナッツに反応する人ももちろんいるが、意外に一種類のナッツのみにアレルギーを持つという人も多いとのこと。
それは一口にナッツといってもそれぞれ属する科が異なるからです。
ですから一種類のナッツでアレルギー発症となったら、即他のナッツも全て完全除去しなくてはいけないとは限らないようです。
ナッツに限らず自己判断で除去食を行うことは非常に危険ですから、必ず病院で検査した上で、医師と相談して決めましょう。

息子の場合は5歳になりもう一度血液検査をしたところ、クルミも含めて全体的に数値が下がっていたことから、食物経口負荷試験(以下、負荷試験)をして解除できるものがあるか確かめようということになりました。

ちなみにクルミは一度アナフィラキシーに近い症状を起こしているし、数値もまだ高めなので今はまだ試験をするのは厳しいという判断になりました。
どれくらい食べるとアウトなのか、というのをしっかり確かめたい気持ちはありますが、こればかりは仕方ありません。

そして医師の話だと、同じナッツでもそれぞれ種類によってグループに分かれており、負荷試験の結果である一つのナッツがセーフということになれば、グループごと解除できるものもあるとのこと。
例えばピカンナッツはクルミと同じクルミ科、またカシューナッツはピスタチオと同じウルシ科、といった具合です。
そこで、それも踏まえつつ生活の中で頻繁に出会うであろうアーモンドとピーナッツ、カシューナッツの負荷試験をしてみることになりました。

食物経口負荷試験について

負荷試験時の入院の有無は病院によってまちまちのようですが、息子が行っている総合病院では日帰り入院という形で試験を行っています。
負荷試験の内容は「持参したナッツを30分の間隔をあけて少しずつ量を増やしながら食べる」というある意味とてもシンプルなもの。
ですが、重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性が十分に考えられる、危険を伴った試験でもあります。
ですので、不測の事態に備えて試験は常に担当医が側にいる状態で行われます。

試験自体はいつも朝9時半ごろから始めて、11時過ぎには終わり、その後は経過観察、ということになります。
そしてお昼になると病院食の昼食を食べ、どこも異常がなければ帰ってOKという流れです。
具合が悪くなった場合はもちろんそれどころではありませんが、症状さえでなければ基本的に暇をもてあますことになるので、暇つぶしグッズは必須です。
我が家ではお絵かきグッズ、お気に入りの本、タブレットに新しい動画やアプリを入れて持っていくなどしています。

現在、アーモンドとピーナッツまで試験が終了し、この二つには何も反応がでなかったのでめでたく除去解除ということになりました。
試験後は家庭でも様子を見ながら少しずつ食べてみてくださいね、と言われ、それまで食べられなかったドーナッツ店のドーナツやピーナッツ入りのキャラメルコーンなどを堪能しています。

負荷試験の最大のメリットはやはり食事の幅が広がる可能性がある、ということです。
外食先や友達付き合いの中で、アレルゲンがないかどうか常にアンテナを張って口に入るものに細心の注意を払うのはなかなか大変なもの。
そして子どもが大きくなればなるほど、親の目の届かない場所で該当する食べ物を口にする可能性も増えてきます。
そういったストレスから解放されるのであれば、その可能性にかけてみたいという気持ちになりますよね。

もちろん、負荷試験は一般的に平日に行われることがほとんど、しかも基本的には一日仕事になるので、子どもにも親にも負担になります。
アナフィラキシーを始めとしたアレルギー症状を発症して、子どもが辛い思いをする可能性もあります。
ですが医師との相談の結果、もし負荷試験を勧められることがあればチャレンジする価値は大いにあると思います。
たとえ完全な除去解除にならなくても、少量であれば口に入っても少し痒くなるくらいで済むんだな、ということだけでも判明したら、だいぶ気が楽になりますよね。
ということで、我が家ではこれからも時間を見つけて負荷試験にチャレンジしていきたいと思っています。

クルミアレルギーがあるとナッツ全般ダメ?5歳息子のケースを考える まとめ

以上をまとめると、クルミアレルギーについては

クルミアレルギーの症状は蕁麻疹、腹痛、嘔吐、呼吸器の異常が見られ、蕁麻疹が最初に出るとは限らない。


クルミが含まれている食べ物はケーキやパンだけではない。サラダにかかっていたり、ゴマダレや中華料理に入っていたり、五平餅や田楽みそに使われていることもあって、細心の注意が必要。


症状に応じて、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、エピペンで対応する。症状の強さの判断がつかなくてどちらの薬を使うべきか迷った時は、強い方を選択した方がよい。

エピペンは使い方が難しいので練習が必要。

ナッツはそれぞれ違う科に属しているので、一つのナッツにアレルギー反応があったからといって全部ダメとは限らない。

除去食は必ず医師の指導の下で行い、アレルギーの有無の最終的な判断は食物経口負荷試験の結果を見て行うこととなる。


食物経口負荷試験は「一定間隔の時間をあけて少しずつ量を増やしながら食べられる量を確かめる」というもの。

アナフィラキシー等の不測の事態に備えて、常に医師が付き添って行われる。

危険を伴いリスクもあるが、除去解除できると食事の幅が広がるし、許容量を知ることができると安心できるのでメリットは大きい。

ということをお伝えしたいと思います。
とにかく重篤なアレルギーを引き起こしやすいクルミを始めとしたナッツを初めて与える時には、ごく少量から病院の空いている時間に与えることを強くお勧めしたいです。
我が家の場合はたまたま他のアレルギー用の薬を持っていて事なきを得ましたが、何も考えずに与えてしまってアレルギーが出た時の怖さは本当に身に染みました。
そして現在もナッツが口に入ることがないように常に気を張る日々が続いています。
ですが、最近は外食先でもしっかり対応してくれてきちんとアレルゲンの有無を伝えてくれるお店がかなり増えていますので、そのようなお店を使えば外食もできます。
ナッツアレルギーは一般的には治りにくいとは言われるものの、後々、食物経口負荷試験を経て食べられることが判明する可能性も十分ありますから、今もし同じようなナッツアレルギーのお子さんがいてお悩みの方も希望を捨てずに頑張っていきましょう。

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